人は人工物に対し、「硬く冷たい触感」や「ぎくしゃくした動き」という印象を持ちます。そこでロボットの多くは実際の生物の見た目を借用することにより、その生き物らしさを表現してきました。しかし人はしばしば、風に乗り手をすり抜ける落ち葉や淡々と掃除をこなすロボットなど物の動きや反応に対し、生き物らしさを見出します。その要因を探る一つの方法として、見た目に寄ることのない、動きによる生き物らしさへのアプローチを行いました。
ciliumは、多くの毛が集まり動き生み出す生物の一器官”cilium”(繊毛)から名付けました。真っすぐの細い金属棒が整然と並んでいる様子からは繊毛の持つ柔らかさは一切感じられません。しかし、一度動くことを始めるとまるで空気の中に漂うような柔らかく繊細な様子が見て取れます。一度その先端に触れられるとまるで人の存在に興味を持ったかのように全体がその指先を追います。これら、「回遊」「反射」そして「追随」という単純な3つのアルゴリズムだけで作り出されるその動きには、長く戯れていたくなるような複雑性が感じられます。
Credit
Yusuke Kamiyama
Client:
Category:
Installation
Date:
January 1, 2014
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