スペインの建材メーカー Cosentino とデザイナー James Kaoru Bury による DESIGNART TOKYO 2025 出展作品「PIECE OF REST」にて、「SATSUKI」内部の漣(さざなみ)発生装置の開発を担当しました。石盤上の水面に綺麗な平面波を発生させるため、複数のタイプのプロトタイプで検討を行った上、機構を設計・実装しました。

クライアント要件
SATSUKIは長さ約 2300mm・幅 730mm・深さ 200mm の横に長い水盤です。水面のすぐ下にデクトン(大判磁器セラミック)が置かれており、浅い水の振る舞いとそこから生まれる光と影の陰影を空間に波及させるインスタレーション作品です。
外から機器を見せることなく連続するさざ波をつくることでした。作品全体の一体感と静けさを損なわずに、水面だけをそっと動かす必要がありました。
· 外部機器(例:ファン)を見せず、作品の一体感を損なわないこと。
· 同一方向に連続する美しい波を、水槽内部の機構だけで生成すること。
→ 一般的なポンプや吹出口は乱れ/噴き上がりを生みやすく、狭い空間で“きれいな平面波”を維持するのが難題でした。

「最初の発想」
分析と実験
大型コンテナと仕切り板、水中ポンプを用いて、さまざまな波の起こし方を検証しました。水中への噴流や水面近くの噴射、板を回転させる方法などを試しましたが、きれいな平面波ではなく、噴水のような乱れや大きなうねりになってしまうことが分かりました。

「コンテナと各種ポンプを使った波紋生成テストの様子」
採用した方式と原理
検証の結果、水槽側面に密着させた“板”を、極短ストロークで瞬間的に引き離すと、揃った波紋が長手方向へきれいに伝播することを発見。板の急激な移動が局所的な体積/圧力変化(インパルス)を生み、そのエネルギーが水面波として一方向へ進みます(小さな駆動でも効果大きく)。

「原理イメージ図」
装置構成と特徴
実機では、防水仕様のサーボモーターとギア機構を用い、超ワイドな板を前後にスライドさせる波紋発生ユニットを設計しました。モーターやリンク部は水槽内部に収め、外観からは見えないようにしつつ、波の強さや周期を細かく調整できる構造としています。


「機械動かすイメージ」
誰でも調整できる機械制御
制御面では、プログラミングの知識がなくても波の表情を変更できる専用 UIとエンコーダを用意し、現場でデザイナー自身がスライダー操作でパラメータを調整できるようにしました。最終的に、石盤の下から静かに立ち上がるさざ波が光と映像を柔らかく揺らし、「PIECE OF REST」の世界観に寄り添う穏やかな水景表現が実現しました。
「デザイナーが波を調整してる様子」
最終表現



Credit
Designer: James Kaoru Bury
Technical Direction: Yusuke Kamiyama
Hardware Design & Engineering: Tianqi Liu
Software Design & Engineering: Yan He
Photo: Rei Kasai
Client:
Cosentino x James Kaoru Bury
Category:
Installation
Date:
October 31, 2025
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